2026年4月8日、東京大学は医学部附属病院で汚職事件などの不祥事が相次いだことを受け、病院を本部直轄にするなどガバナンス強化策を発表しました。大学側は閉鎖的な組織風土が根本原因と分析しています。
名門・東京大学の附属病院で不祥事が続発した事実は、日本の組織ガバナンスの脆弱性を象徴的に示しています。専門性の高い組織ほど外部からの監視が届きにくく、内部の論理が優先されがちです。医療という公共性の高い領域であっても、組織の自浄作用には限界があることが明らかになりました。
本部直轄化という決断は、権限の集中と透明性の向上を同時に狙った改革です。独立性の高かった病院組織に大学本部が直接関与することで、意思決定プロセスの可視化と外部チェック機能の強化が期待されます。しかし、過度な中央集権化は現場の自律性を損なうリスクもあり、バランスが重要です。
閉鎖的組織風土の改革には、人事の流動性向上が不可欠です。同質的なメンバーによる長期的な関係は、馴れ合いや既得権益の温床となります。外部人材の積極登用や定期的な人事ローテーションによって、組織に新しい視点と緊張感をもたらすことができます。
内部通報制度の実効性確保も重要な課題です。多くの組織で制度は存在しても、通報者保護が不十分で機能していません。独立した第三者機関による通報窓口の設置や、通報者へのインセンティブ設計など、実質的な運用改善が求められます。
この事例は、医療機関に限らずあらゆる組織にとって教訓となります。企業、行政、教育機関など、専門性や伝統を重んじる組織ほど、意識的に透明性とチェック機能を組み込む必要があります。組織の規模や歴史に関わらず、ガバナンス改革は継続的な取り組みとして位置づけるべきです。
東大病院の改革が真に成功するかは、今後の実行力にかかっています。制度変更だけでなく、構成員一人ひとりの意識改革と、改革を支える文化の醸成が伴わなければ、形骸化のリスクがあります。この改革プロセスを注視し、他の組織も自らのガバナンス体制を見直す契機とすべきでしょう。